2012年5月9日水曜日

住宅の価格


住宅の価格ってわかりにくいといわれますが、この問いかけ自体が間違っています。わかりにくいのではありません、わからないのです。

◆価格は商品があるから
物の価格はどう決まっているんでしょうか?定価という言葉はありますが、これは商品を売る者が、元手や利益、売れる量、買い手の反応などを考え商品につける仮の価格です。実際は定価で売れる時もありますが、売れないときもある。たぶん売れた金額がその商品のその時の適正な価格と言ってもいいのでしょう。 私たちは、ある商品があれば、定価を参考にしたり、他と比較して価格を判断しています。定価の無いオープン価格といった商品も店頭や広告をいくつか眺めれば大体見当がつくものです。
これは、「商品」という物があるから判断できることです。形のある商品がなかったらどうでしょう?

◆商品がないのに価格がわかるのだろうか
実をいうと、住宅は完成するまでは形がありません。図面はあっても、契約書があっても完成までは形がありません。
これは、見知らぬ飲食店で初めて食事をするときの不安に似ています。使う食材の良さや安全性、料理人の腕や、味や量もわからない。食は一度味見のつもりで挑戦してもいいけど、住宅はそういうわけにはいきません。ほとんどの場合は一回限り。不安です。
住宅展示場を信じても、工務店の実績を信じても、あなたの家は同じようにはできません。予算も敷地も、造る季節や期間も、造る職人も違うからです。出来てみるまではわからない。最終的な質や形がわからないのものを商品と考えること自体がほんとはおかしいのです。まして価格がわかるはずありません。

◆何をするか決まってないと話にならない
価格がないって言われれても困ります。買うんだから・・・いやいや違います。商品を買うのではなく、契約して造るのです。これが商品と違う点です。だから、より適正な金額で契約し造ってもらうには、少なくとも3つの点がクリアされなければいけません。
1、料理のレシピです。希望を叶えるには住宅にもしっかりしたレシピが必要です。それは、設計図面や仕様書です。
2、料理人の腕です。レシピがあっても腕がなければ、質は上がりません。予算に見合った職人を選ぶことが大切です。
3、指示とチェックです。何人もの職人がある期間限りで集まるのですから、指示とチェックが必要です。指示は工務店、チェックは建て主の依頼した建築士の役割と考えていいでしょう。
こういったことがクリアされて、初めて家を造るのに適正な金額だったかどうかが判断できるのです。商品の価格とは違います。

◆安くしときますなんて言葉は意味がない・・・
住宅は完成現物がないものを、約束して完成させるもので、後出しジャンケンのようなものですから、図面や契約、工事チエックなどがなければ、安く契約した分だけ安く造ることは実は容易です。いわゆるすでにある商品とは違うのです。建てる前に、価格が既にある商品のような話をする場合は、必ず嘘が入っています。今回は安くしておきます・・・職人手間を安くするのかな?10万円エコポイントつきますよ、お得でしょ・・・そんなことより工事費高くしてないの?なんて一度は疑ってみましょう。
価格はないのですから。

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